防風通聖散の効果はいつから?副作用や危険性・ダイエットにおすすめな市販薬についても解説

防風通聖散の効果や副作用・ダイエットにおすすめな市販薬についても解説

痩せる漢方薬やダイエット漢方として有名な防風通聖散はドラッグストアでも購入することができ、手軽にダイエットをはじめたい方に人気があります。

ですが実際に「どんな効果があるのか」「どれくらいで効果が出るのか」など不安に思っている方もいるでしょう。

実は、漢方薬は誰でも同じものが使用できるわけではなく、体質やタイプによって効果が期待できる生薬が異なるのです。


防風通聖散の副作用や危険性も含て、ダイエットにおすすめな市販薬についても解説していくので、漢方でダイエットをすぐに始めたい方は防風通聖散の効果をしっかりと理解しておきましょう。

目次

防風通聖散とは18種類の生薬を配合した漢方薬

防風通聖散とは18種類の生薬を配合した漢方

防風通聖散には、18種類もの漢方薬が配合されています。

一般的に漢方薬は7〜8種類の生薬から構成されていることが多く、少ないものでは2種類の生薬でできています。

それを踏まえても、漢方薬の中では最も多くの生薬が配合された薬剤が防風通聖散です。

中でも、

  • 便を出しやすくする下剤効果のある生薬が複数
  • 腸を刺激して蠕動運動を促進するもの
  • 便を柔らかくする作用のある生薬

などが働き合ってダイエット効果の他に防風通聖散には便秘も解消する効果があります。

これら18種類の生薬は、万人に使用できるものではありません。

体質によっては、効果が強く出過ぎてしまう方や、基礎疾患によっては避けた方がいい生薬、妊娠・授乳中は使わない方がいいものなど注意点が多くあるのです。

そのため、ダイエット目的で使用したい場合も、使用できる体質なのか、使用量はどのくらいがいいのかなどの詳細は専門家に相談することをおすすめします。

参考:医療用医薬品|防風通聖散

防風通聖散の効果・効能

防風通聖散は、体力が充実していて腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなタイプの方に適している薬剤です。

効能・効果としては、肥満症があります。

さらに、高血圧や肥満に伴う動悸、肩こり、むくみ、のぼせ、便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹、皮膚炎、ふきでものなどにも適応があります。

肥満や便秘があると、老廃物の排泄も滞り、結果的ににきびやふきでもの、湿疹などが出てくることがあります。

それらの症状を改善させる効果もある漢方薬です。

効果効能
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症
高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘

引用元:医療用医薬品|防風通聖散

また、防風通聖散は痩せる薬として話題のGLP-1メディカルダイエットのリベルサスとも併用して利用することで、よりダイエット効果を期待することが可能な漢方薬です。

1日1錠飲むだけで食欲を抑えてくれるリベルサスの効果の詳細やオンライン診療で防風通聖散の処方を行っているDMMオンラインクリニックについてなども別の記事で詳しく紹介しています。

防風通聖散は「お腹周りの脂肪が気になる人」向けの漢方薬

防風通聖散は、お腹周りの皮下脂肪が気になる方に適した漢方薬です。

皮下脂肪が蓄積され、横や下に突き出た「太鼓腹」タイプの人をイメージしてみてください。

防風通聖散は、脂肪細胞の中でも太りやすくなる白色脂肪細胞の分解を促進させ、脂肪をエネルギーにかえて燃焼させる褐色脂肪細胞を活性化する効果があります。

褐色脂肪細胞の活性化はエネルギー消費を促すことから、メタボリックシンドロームの治療や、肥満改善のターゲットとして今後ますます注目されると考えられます。

引用元:生理学研究所|褐色脂肪細胞においてエネルギー消費を促す新たなメカニズムを発見

また、

  • 便通を改善しながら体内に蓄積された老廃物を排泄する働き
  • 解毒作用による代謝促進効果
  • 利尿作用によるむくみ改善作用

などもあるため、高血圧や肥満に伴う諸症状の改善にも役立ちます。

防風通聖散のダイエット効果は研究でも肥満患者のBMIを改善するとして発表されています。

7 件の研究と 679 人の参加者 (BTS グループ 351 人、対照グループ 328 人) が対象となりました。肥満の参加者において、BTSは対照と比較してBMIを有意に減少させた(平均差、MD [95%信頼区間]:-0.52 kg/m2 [-0.86、-0.18]、P = 0.003)。

引用元:NIH|日本の伝統的な漢方薬である防風通聖散は肥満患者のBMIを改善する

「実証」タイプの人におすすめな漢方薬

では実際にどんな体質の方が利用できるのでしょうか?

防風通聖散は、体力や抵抗力が充実している「実証」向けの漢方薬です。

実証とは、食欲があり、便秘しやすく、薄着を好み、声が大きいようなタイプです。

このタイプの人は、脂っこい食事や甘いものを好み、食欲旺盛です。

しかし便秘がちであるなど、内側にため込むタイプであるために代謝が悪く、のぼせやすく、汗をかきやすいといった特徴もあります。

そのため、実証の人に対しては、溜まっている余計なものを出すことが漢方薬の大きな役割です。

「証」の分け方のひとつに「虚・実(きょ・じつ)」があります。 体力や抵抗力が充実している人を「実証(じっしょう)」、体力がなく、弱々しい感じの人を「虚証(きょしょう)」と言います。

引用元:ツムラ|私に合う漢方薬の見つけ方

防風通聖散に配合されている、大黄、芒硝、甘草が緩下剤作用を持ち、便秘の解消にも効果があります。

また、山梔子、石膏、滑石、黄芩は体内にたまっている熱を冷ます作用があります。

さらに、当帰、芍薬、川芎は血を補い、微小血管循環を改善する効果があるため代謝をを高めて汗を出し、熱を冷ましながら全身を整える効果が期待できます。

実証タイプの人は、「気」の巡りも悪いことが多く、イライラしたり、不眠、精神不安などを訴える方も多いのが特徴です。

防風通聖散の、芍薬、川芎、白朮などに鎮静効果や抗ストレス作用もあり、心身を整え免疫力を高める作用もあります。

これらの実証タイプに当てはまる方に効果が期待できるのが防風通聖散なのです。

「虚証」の人向けは防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)

防風通聖散は、食欲旺盛で、体力があり、薄着を好み、冷たい飲み物を飲みたがるような「実証」の人に適した漢方薬です。

そのため、虚弱で下痢をしやすく、弱々しく、大量の冷たい飲み物が苦手な「虚証」の人には防風通聖散は不向きです。

虚証タイプの人は、皮膚表面の水分代謝が悪く、水が停滞しやすいためにむくみやすく、水太りになりやすい傾向があります。

また、胃腸機能が弱いため、摂取した食物をうまく消化できない体質です。

このようなタイプの方には、胃腸機能を高め、消化を促進させ、停滞している水分代謝を良くする「防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)」が適しています。

虚弱な人は食欲が細く、胃腸が弱い傾向にあります。

それほど食べていないのに太ってしまうのは、水分代謝が悪く、水太りになりやすいことが理由の1つです。

そのようなタイプの人が防風通聖散を使用すると、下痢や腹痛などの副作用がしばしば起こります。

防已黄耆湯は、胃腸の機能を高めながら、余分な水分を排泄し、脂質代謝を活性化させて全身機能を高める作用があります。

そのため、胃腸が弱く、食欲が少ない方の余分な脂肪を分解・燃焼させたい場合は防已黄耆湯を選んでください。

腎機能の低下、肥満症、関節炎、皮膚の炎症、むくみ、多汗症、月経不順の治療に使用されます。
通常、色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛する人に用いられます。

引用元:くすりのしおり|ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)

参考:医療用医薬品|防已黄耆湯

防風通聖散のダイエット効果とは?

防風通聖散のダイエット効果とは?

防風通聖散は、飲むだけで痩せる薬ではありませんが、飲みつづけることで痩せやすい体質へと改善することができる漢方薬です。

肥満症の治療に保険適応も認められています。

肥満症
肥満(BMIが25以上)で、肥満による11種の健康障害(合併症)が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に診断され、減量による医学的治療の対象になります。BMIが35以上の場合、高度肥満症となります。

引用元:日本肥満学会|肥満と肥満症について

クリニックなどでも処方が可能ですが、肥満症に当たらないダイエット目的の方は保険適用されませんので注意が必要です。

中でも防風通聖散に含まれている麻黄(マオウ)という生薬は、交感神経末から分泌されるノルエピネフリンという神経物質の分泌を促進します。

ノルエピネフリンは脂肪の分解して燃焼させる、痩せ細胞である「褐色脂肪細胞」を活性化させることで熱産生を高め、全身の血行や代謝をよくします。

また、脂肪を蓄積している「白色脂肪細胞」での脂肪燃焼も促進させることでもダイエットに貢献してきました。

さらに、最近の研究では、防風通聖散が腸内細菌叢を変化させることも明らかになってきました。

肥満や便秘に用いられてきた漢方薬、防風通聖散が腸内細菌叢を変化させ、善玉菌といわれるアカマンシアを増加させることで腸管のバリア機能を高めて血糖値が改善することを見出しました。

引用元:富山大学|防風通聖散の腸内細菌を介した糖代謝改善作用を解明

腸内環境が乱れると、腸管バリア機能が破綻して肥満や糖尿病になりやすいのですが、防風通聖散は腸内の善玉菌を増やし、腸管バリア機能を高める作用があるのです。

この働きによって、肥満になりにくく、血糖値が上がりにくい体質に改善することも期待されています。

参考:福岡県薬剤師会|防風通聖散の肥満症に対する作用機序は?

脂肪燃焼効果のある甘草(カンゾウ)

防風通聖散に配合されている甘草(カンゾウ)には、抗炎症作用や鎮痛作用、胃腸機能改善作用、抗アレルギー作用、代謝改善作用などさまざまな働きがあります。

脂肪燃焼効果もあり、ダイエットや脂肪燃焼効果を高める生薬としても注目されています。

しかし、甘草はその効能・効果の多さから数多くの漢方薬に使用されるほか、甘味料として食品に含まれていることも少なくありません。

そのため、過量摂取してしまうと偽アルドステロン症という重大な副作用を引き起こすこともあります。

アルドステロン症は、アルドステロンが過剰に分泌されることで高血圧、むくみ、低カリウム症などを引き起こすものですが、偽アルドステロン症はアルドステロンが分泌されていないのに同じような症状を引きおこしてしまう状態です。

これは、甘草の主成分であるグリチルリチン酸が原因とされています。

甘草は、一日に摂取した総量を把握することが重要です。

複数の漢方薬を使用している方は、それぞれの含有甘草量をしっかり確認しましょう。

とくに高齢者、肝機能や腎機能が落ちている方は要注意な生薬です。

参考:日本漢方生薬製剤協会|カンゾウ(甘草)

むくみ改善効果のある滑石(カッセキ)生姜(ショウキョウ)

防風通聖散に配合されている滑石(カッセキ)は、体内の停滞している余分な熱を冷ます作用や、体内の水分を調節する作用があります。

また、生姜は(ショウキョウ)には補薬的な役割で微小循環を改善し、代謝効果を高める作用や、発汗・抗菌作用があります。

防風通聖散にはこの二つの生薬も配合されているため、水分代謝を改善して尿を増やし、むくみを改善する効果も期待できるのです。

参考:クラシエ漢方セラピー|滑石(カッセキ)

便秘改善効果のある大黄(ダイオウ)

防風通聖散に配合されている大黄(ダイオウ)は、腸の蠕動運動を促進して排便を促す下剤として古くから使用されてきました。

その作用の強さから、「将軍」という別名をもつほどその下剤効果は高いと評価されています。

薬用部分は根茎であり、アントラキノン誘導体を含んでいるため黄色く見えます。

アントラキノン誘導体は、大腸で腸内細菌によって分解されるとアントラキノンという物質に変わります。

そして、アントラキノンが大腸粘膜から吸収されて腸を動かすために排便が促進されるのです。

主成分のセンノシドは、医療用の下剤としても頻繁に使用されている成分であり、用量依存的な効果がある生薬です。

大黄は古典には駆瘀血(血の滞りを改善)、通利(利尿、通便)、清熱瀉火(消炎)を有すると記載されています。現代薬理学的にも、瀉下作用、抗菌作用、向精神作用、鎮痛・消炎作用、腎不全改善作用など、多彩な作用とその成分に関する多くの報告があります。

引用元:クラシエ薬品|ダイオウ配合製剤 品質一定化への取り組み

血行促進効果のある大黄(ダイオウ)生姜(ショウキョウ)

さらに大黄(ダイオウ)には、血の巡りを改善させ、利尿・痛便効果や抗炎症作用もあります。

また、生姜(ショウキョウ)は抗炎症・抗菌作用、血行促進作用、消化促進などの働きがあるため、体を温めて冷えを改善し血行を良くすることで糖質や脂肪の燃焼を高めて熱を作る効果が得られます。

防風通聖散にはこれらの生薬も含有されているため、血行促進効果が高まり、熱エネルギーとして脂肪が燃焼されることが期待できるでしょう。

参考:日本漢方生薬製剤協会|ショウキョウ (生姜)

防風通聖散のダイエット効果は2週間~1か月で程度で実感できる

防風通聖散の効果が実感できるまでは、早くても2週間~1か月はかかります。

脂肪の燃焼を助け、便秘などを解消することでお腹周りがスッキリしてくるまでには体の内側から体質を整える必要があるからです。

そのため、即効性はありませんが、しばらく続けて服用してみてください。

防風通聖散には、老廃物を排出しやすくする効果もあるため、2週間くらいから尿量が増えはじめ、1か月くらいでむくみが改善されてくるでしょう。

また、下記のような研究結果もあります。

結果,IGT を伴う日本人肥満症女性患者の治療において,食事や運動療法などの生活改善に加え,防風通聖散を 24 週間投与することは,IGT と中性脂肪値の改善だけでなく,安静時代謝量を下げることなく特に内臓脂肪量の減量,胴囲の減少,インスリン抵抗性改善に有効であると推察できた.

引用元:エビデンスによる漢方の再構築:メタボリックシンドロームに対する防風通聖散の有効性の検討

しかし、効果が出ないまま漫然と飲みつづけることは避けてください。

毎日適量を服用していても、全く効果が得られない場合は1か月を目処に服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

防風通聖散の副作用や危険性・デメリットについて

防風通聖散の副作用や危険性・デメリットについて

防風通聖散は、18種類という多くの生薬が配合されているため、体質や証に合わない場合は副作用が起こる可能性もあります。

体力や食欲があり、汗をかきやすく、冷たい飲み物をよく飲むような「実証」の方向けの構成なので、胃腸が弱い方や虚弱な方が服用すると下痢や腹痛、吐き気などが起こりやすくなるでしょう。

防風通聖散の副作用や危険性について、詳しくご説明します。

防風通聖散の副作用

防風通聖散は漢方薬なので作用がマイルドで副作用もないイメージがあるかもしれませんが、場合によっては副作用が生じるケースがあります。

防風通聖散の副作用としては、下記が挙げられます。

皮膚症状の副作用

  • かゆみ
  • 湿疹
  • 発赤

などがあります。

消化器系の副作用

  • 腹痛
  • 下痢
  • 腹部膨満感
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 胃部不快感

などが報告されています。

その他の副作用

  • むくみ
  • 発汗
  • 動悸
  • 頭痛

などが生じることもあるのです。

重篤な副作用はあまり起こりませんが、「甘草」を含んでいるため、長期的に大量摂取することで血圧が上昇して「偽アルドステロン症」という症状が出る場合もあるので注意が必要です。

このほか、重大な副作用としては間質性肺炎、肝障害、腸間膜静脈硬化症が報告されています。

防風通聖散を服用していて、発熱、手足の震え、息が苦しい、咳が出る、目や皮膚が黄色くなる、尿が褐色になる、力が入らない、下痢や腹痛が続くなどの症状がみられた場合は使用を中止してすぐに医師に相談してください。

参考:医療用医薬品|防風通聖散

防風通聖散の危険性は?

防風通聖散は、危険性の高い漢方薬ではありませんが、「実証」向けの薬剤として18種類もの生薬が配合されています。

そのため、

  • 肝機能、腎機能が低下している人
  • 体力が低下している人
  • 体が弱い人
  • 医師の治療を受けている人
  • 他の下剤を飲んでいる人
  • 発汗傾向の強い人
  • 今まで薬剤の使用にて皮膚症状に異常をきたした人

などが当てはまる方は副作用が起こる可能性が高くなります。

また、稀ですが間質性肺炎や肝機能障害などの重篤な副作用が生じる場合もあるため、急に発熱、頭痛、息切れ、発疹、褐色尿などの症状が出てきた場合はすぐに中止して医師の診察を受けてください。

参考:医薬品医療機器総合機構|ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)

防風通聖散を服用できない人

防風通聖散は、体力がある「実証」人向けの漢方薬です。

そのため、体力がない「虚証」の人は使用することを避けてください。

また、緩下剤効果のある生薬が大黄、芒硝、甘草など複数含まれているため、他の下剤を使用している人も使用できません。

防風通聖散に含まれる麻黄という生薬は、交感神経を刺激するエフェドリンが含まれています。

そのため、

  • 心臓病
  • 脳梗塞
  • 高血圧の既往歴のある方

は使用には注意が必要です。

また、腎臓病や排尿障害、甲状腺機能異常、塩分制限のある方も服用する際には専門家に相談してください。

妊娠中・授乳中の方も使用を避けてください。

参考:くすりのしおり|ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)

デメリットは飲むだけで痩せる薬ではないこと

防風通聖散は、ダイエット向けの漢方薬として有名ですが、飲むだけで痩せる魔法の薬ではありません。

そのため、毎日欠かさず飲み続けたとしても、それだけでみるみるうちに体重が減ってスリムになるわけではないのです。

脂肪は、大きく分けると白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の二つからできています。

白色脂肪細胞は、体に脂肪を蓄え、内臓を保護し、断熱作用としての役割も持つ細胞です。

しかし、脂肪を蓄積させる作用があることから「太りやすくする細胞」と言われます。

一方で、褐色脂肪細胞は脂肪を分解して熱に変えて外に放出し、体温を上げる「痩せる細胞」です。

防風通聖散は、白色脂肪細胞の脂肪分解を促進させ、褐色脂肪細胞を活性化させることで体重を減少させる効果も期待できます。

しかし、これらの効果を最大限に発揮させるためには、怠惰な生活をしていてはいけません。

日常生活では、カロリーオーバーにならないようにバランスのとれた食事を意識し、適度な運動、良質な睡眠、暴飲暴食を避けるなどの努力が必要です。

効果的に痩せる方法ダイエット中の食事については別の記事で詳しく紹介していますのでご一緒にご覧ください。

防風通聖散はドラッグストアでも購入可能!市販薬の選び方とは?

防風通聖散の市販薬の選び方とは?

ドラッグストアなどで購入できる市販薬には、数多くの防風通聖散の製剤があります。

製造メーカーや製薬会社によって、

  • エキス抽出方法の違い
  • 生薬の含有量
  • 剤型

などが異なるため飲みやすく、続けやすいものを選ぶとよいでしょう。

防風通聖散は、漢方薬特有の味や臭いがあります。

そのため、漢方薬特有の匂いが苦手な人は顆粒や細粒ではなく、錠剤タイプを選ぶのがおすすめです。

また、嚥下機能や生活習慣に合わせた剤型を選ぶ方がより飲みやすくなるため、自分の生活背景なども考慮して、一回の服用量や錠剤の大きさ、持ち運びの便利さなども選択肢に入れてみてください。

防風通聖散の医療用処方薬と市販薬の違い

医療用の防風通聖散に含まれる生薬の量は「満量処方」といい、承認されている基準内の最大量が使われています。

市販薬のような一般用の漢方製剤に対しては、「日本薬局方」や「一般用漢方製剤製造販売承認基準」という基準で生薬ごとに使用できる量が決められています。

日本薬局方は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書です。

引用元:厚生労働省|「日本薬局方」ホームページ

そのため、市販の漢方薬では医療用処方薬の半分の量の生薬でできた半量処方や、1/3の量でつくられた処方などの製剤もあるのです。

同じ防風通聖散という名前でも、医療用処方薬は満量処方、ドラッグストアなどで購入できる市販薬は満量処方のものもあれば、そうでないものもあります。

使用を検討する場合は、生薬の含有量にも着目してみてください。

参考:厚生労働省|一般用漢方製剤製造販売承認基準について

生薬の配合量(満量処方・エキス量)の違い

「防風通聖散」という同じ名前の漢方薬でも、配合されている生薬の量に違いがあります。

病院やクリニックなどで医療用として処方されるものは、各生薬ごとに定められている承認量が最大限に配合されている満量処方です。

一方、市販薬として販売されている防風通聖散には、満量処方の製剤もありますが、満量処方の半分の生薬でできている半量処方や、さらに半量処方よりも少ない量でできている商品もあります。

満量処方とはどういうことですか?
承認基準内の最大量を配合しているのが満量処方です。
承認基準とは「一般用漢方製剤製造販売承認基準」のことです。

引用元:小林製薬|満量処方とはどういうことですか?

また、満量処方と記されている商品でも、生薬のエキス量が異なることがありますが、これは使用している生薬の原料の違いや、各会社ごとに異なった抽出方法をして製造しているためです。

「日本薬局方」または「一般用漢方製剤製造販売承認基準」という基準に則して、適切な量の生薬が配合されます。

満量処方は、これらの承認基準のうちで最大量を使用して作られています。

市販薬では、満量処方として販売されている漢方もありますがごく一部です。

その理由は、副作用の発現を最小限に抑えることや、気軽に購入できることを考慮して安全性を高めるためです。

参考:PMDA|日本における生薬・漢方製剤基準の策定

散剤・顆粒剤・錠剤などの形状と飲みやすさの違い

漢方薬には、顆粒、細粒、錠剤とさまざまな剤型があり、味や臭いの感じ方も異なります。

そのため、同じ漢方薬を服用する場合でも、錠剤の方が風味を感じにくく、散剤の方が吸収が早いなどの特徴があります。

防風通聖散は無味無臭ではなく、独特の苦味と臭いがあるため、それが苦手な方は口の中に残る顆粒や細粒よりも錠剤の方がいいでしょう。

一方で、錠剤は1回に複数錠飲まなければならないため、嚥下機能が低下している方などは、溶けやすい細粒や飲み込みやすい顆粒などがおすすめです。

防風通聖散で有名なツムラとクラシエの違いとは?

ツムラの漢方薬は顆粒、クラシエは細粒と錠剤の両方のシリーズがあります。

ツムラの顆粒は大き目の荒い剤型に対し、クラシエは細かい細粒です。

また、使用している生薬やエキスの抽出方法も異なるため、同じ名前の漢方薬でも生薬の比率や量が違う場合があります。

しかし、治療上の差はほとんどなく、エキスの濃度が高い方が効き目がいいわけではありません。

参考:クラシエ防風通聖散エキス錠

防風通聖散ダイエットにおすすめな市販薬5選

防風通聖散ダイエットにおすすめな市販薬5選

防風通聖散ダイエットにおすすめのドラッグストアなどで購入できる市販薬をご紹介します。

体力や抵抗力に自信のある方は満量処方を選んでいただいてもよいでしょう。

しかし、まずは試してみたい方や、副作用などが心配な方は、効果が穏やかな半分程度の量からはじめてみるのがおすすめです。

剤型や服用回数、一回の服用量、価格なども継続する際にはポイントとなりますので、各商品の特徴を押さえておきましょう。

ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒は1/2量処方ではじめやすい

ツムラは国内でも最大の漢方メーカーであり、そのシェア率は80%を超えています。

漢方に関しては、「自然の恵みを利用してできている薬」というコンセプトのもと、最前線の技術を駆使して生薬本来の効果を引き出せるような製剤を作っています。

そのような漢方薬のプロフェッショナルが第2類医薬品として販売している防風通聖散は、半量処方の顆粒です。

医療用で使用される生薬の半分の量ですが、そのぶん安全性は高く、初めてでも使いやすい製剤です。

どこのメーカーで、どのくらいの量を使ったらいいのか迷ったときは、信頼と安心のツムラの漢方薬を選ぶことをおすすめします。

スクロールできます
剤型(顆粒)1回量(成人量)1日量1日あたりの価格処方量
10日分(20包)税込:2,400円1日2回、1回1包2包約240円1/2量(半量処方)
24日分(48包)税込:4,300円1日2回、1回1包2包約179円1/2量(半量処方)

公式サイト:ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒

新・ロート防風通聖散錠満量は満量処方・1回4錠

ロート製薬の和漢箋シリーズから販売されている「新・ロート防風通聖散錠満量」は、防風通聖散特有の味や臭いを抑えるために独自の技術でフィルムコーティングが施された錠剤です。

15歳以上の成人は、1日3回、1回4錠の服用で満量のエキス量を摂取することができます。

漢方薬の服用を続けたいけれど、顆粒の服用や味が苦手、外出先で顆粒を服用するのが嫌だとお悩みの方には最適な製剤でしょう。

5日分のお試しサイズから30日分の大容量タイプまでシチュエーションごとに選べるのも魅力です。

スクロールできます
剤型(錠剤)1回量(成人量)1日量1日あたりの価格処方量
5日分(60錠) 税込:1,400円1日3回、1回4錠12錠約279円満量処方
22日分(264錠)税込:4,980円1日3回、1回4錠12錠約226円満量処方
30日分(360錠)税込:7,480円1日3回、1回4錠12錠約249円満量処方

公式サイト:ロート防風通聖散錠満量a

ナイシトールZaは満量処方・1回5錠

小林製薬のナイシトールシリーズの中でも、最大量の生薬量28,000mgから抽出された防風通聖散エキス5,000mgを有効成分とした満量処方の錠剤です。

同じように満量処方の製剤は他の会社からも販売されていますが、小林製薬では生薬の質と量にこだわって作られています。

さらに、熱による成分の変性を防ぐために低温濃縮という特別な技術を用いて製造された錠剤です。

ただし、フィルムコーティングはされていないので、生薬の香りがする錠剤です。

漢方薬を錠剤で飲みたいけれど、独自の臭いも効能の一部として取り入れたい方に最適でしょう。

スクロールできます
剤型(錠剤)1回量(成人量)1日量1日あたりの価格処方量
7日分(105錠 )税込:2,100 円1日3回、1回5錠15錠約300円満量処方
21日分(315錠 )税込:6,000 円 1日3回、1回5錠15錠約285円満量処方
28日分(420錠)税込:7,500 円1日3回、1回5錠15錠約267円満量処方

公式サイト:ナイシトールZa

クラシエ コッコアポEX錠は3/5処方・1回4錠

クラシエ コッコアポEX錠は、生薬量が満量処方に対して3/5と、半量処方よりも少しだけ多めの製剤です。

半分の量まで減らしたくないけれど、満量処方製剤を使うのには少し抵抗がある方は、この商品ではじめてみるのがおすすめです。

飲みやすさや続けやすさにも配慮された設計で、漢方薬の味や臭いが苦手な人向けにフィルムコーティングが施された錠剤なので服用しやすいタイプに仕上がっています。

スクロールできます
剤型(錠剤)1回量(成人量)1日量1日あたりの価格処方量
5日分(60錠) 税込:1,100円1日3回、1回4錠12錠約219円3/5量処方
12日分(144錠)税込:2,200円1日3回、1回4錠12錠約183円3/5量処方
26日分(312錠)税込:4,400円1日3回、1回4錠12錠約169円3/5量処方

公式サイト:コッコアポ®EX錠

クラシエ 漢方防風通聖散料エキスFC錠は1/2量処方・1回4錠

クラシエは、「人を想いつづける」ことを理念とし、商品を開発しています。

漢方薬にもその志は反映されており、漢方薬や商品に対していつでも相談できる専用の窓口も開設されています。

防風通聖散は、効果が強い生薬がいくつも配合されているため、自分の体質や証に合えば半量でもマイルドながら効果が期待できる漢方薬です。

そのため、体への負担や経済的な価格も考慮し、半量で継続したい方にはおすすめの製剤です。

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剤型(錠剤)1回量(成人量)1日量1日あたりの価格処方量
30日分(360錠)税込:5,500円1日3回、1回4錠12錠約183円半量処方

公式サイト:「クラシエ」漢方防風通聖散料エキスFC

防風通聖散利用者によくある質問

防風通聖散利用者によくある質問

防風通聖散を使用したい方がよく抱える疑問や質問をまとめました。

ダイエット漢方として有名な防風通聖散ですが、実は複雑な構成をしており、適応できる人も限られています。

安心して、安全に服用することで効果が得られるために、正しい知識を備え、不安を解消して適正に使いましょう。

防風通聖散はお腹を痩せさせますか?

防風通聖散は、お腹周りの皮下脂肪の燃焼を助けます。

しかし、飲むだけでお腹の脂肪を溶かして捨てる薬剤ではありません。

そのため、カロリー摂取を適正に保ち、適度な運動や食生活の見直しなどを併用することで痩せやすい体質へと改善することができます。

肥満症の原因をつくらない生活習慣を個々が定着させ、適正な環境で用いることでお腹周りの脂肪を減らすのを助けてくれる漢方薬です。

防風通聖散を飲んで1ヶ月で何キロ痩せますか?

防風通聖散の効果は人によって異なるため、1か月でこれだけ痩せると明言することはできません。

しかし、ある研究では、12週間防風通聖散を服用した結果、平均で体重が-2.1kg減少したとの報告があります。

これらの成果を得るためには、ただ防風通聖散を飲むだけではなく、日常生活の見直しと、適度な運動、消費カロリー>摂取カロリーになるようなカロリー制限も必要です。

中には、1か月で2kg以上の減量に成功した体験談も多くあるため、ストレスマネージメントも含めた生活改善が上手くできるとより効果が期待できるでしょう。

参考:小林製薬|~鍵は「代謝時の脂質利用率アップ」にあり~内臓脂肪を減らす漢方薬”防風通聖散”の効果実証!

防風通聖散のツムラ 62を処方してもらうには?

医療用としてツムラの62である防風通聖散を処方してもらうためには、医師の診察を受け、必要であると判断されなければなりません。

そのため、肥満症で使用したい場合や、高血圧や便秘に伴う動悸、肩こり、のぼせなどの随伴症状の改善で使用したい場合でも、医師に相談して治療上必要であることを認めてもらいましょう。

基礎疾患でリウマチや精神症状などの合併症がある場合、実証と判断するのが困難なケースもあります。

この薬は漢方薬です。あなたの症状や体質に合わせて処方してあります。
高血圧に伴う症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘の治療に使用されます。
通常、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人に用いられます。

引用元:くすりのしおり|ツムラ防風通聖散2.5g「62」

また、日本人は欧米人と比べて胴長でお腹周りの内臓脂肪が多い傾向にあります。

そのため、BMIが低くても、太り易くて痩せにくいタイプの人が多いです。

ツムラ62が肥満症として保険適応されるには、BMIが25以上であるなどの条件がありますが、一度医師に相談してみるのがいいでしょう。

防風通聖散は保険適用できますか?

防風通聖散は、「肥満症」に対して保険適応があります。

そのため、BMI(body-mass-index)が25以上の実証の方は、医師から処方してもらうことが可能です。

しかし、診断にて体質に適しており、必要だと判断された場合に限ります。

肥満症は「肥満ないし肥満に関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される病態で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾患単位として扱う」と定義されている

引用元:J-Stage|肥満と肥満症の診断基準

やみくもに医療機関を受診して防風通聖散を処方して下さいとお願いしても希望が通らないこともあるでしょう。

特にダイエット目的の処方の場合は、自由診療を行っているクリニックなどで診察を検討してみてください。

例えば、オンライン診療で防風通聖散を処方可能なDMMオンラインクリニックなどで処方が可能です。

防風通聖散は肝臓に悪いって本当ですか?

防風通聖散の服用中に薬剤性肝障害を起こしたという症例の報告が複数ありますが、その頻度や発現機序を明確にすることは困難であり、いまだに不明な点も多くあります。

しかし、市販薬も含めて防風通聖散の服用中に薬剤過敏症だと考えられる肝機能障害があらわれることがあるため、注意が必要です。

初期症状としては、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状がみられます。このような症状が出た場合は肝機能障害も疑い、服用を中止して受診してください。

また、もともと肝機能が低下している方は、使用を開始する際は医師に相談した上で使用量を決めて、注意して服用してください。

参考:防風通聖散の長期服用中肝障害が出現し,劇症化に至った1例

防風通聖散を飲み続けるとどうなりますか?

防風通聖散が自分の体質に合っており、効果が得られ、調子が良ければ飲み続けてもかまいません。

しかし、胃腸が弱い方や虚弱な方が飲みつづけると、下痢や吐き気、腹痛を生じることがあります。

また、これらの症状が継続するとさらに重大な副作用へつながるおそれがあります。

防風通聖散は18種類もの多くの生薬から構成されており、比較的効果が強い漢方薬です。

そのため、1か月程度服用しても効果がみられない場合や、下痢や腹痛、食欲不振や腹部膨満感、胃の不快感、血圧の上昇、皮膚の痒みや湿疹などの症状があらわれた場合は使用を中止して医師や薬剤師に相談してください。

防風通聖散の効果まとめ

防風通聖散は、ダイエット漢方としてとても有名になり、誰でも手軽に購入できるようになりました。

しかし、その歴史は古く、「聖」には「聖人がつくった」「聖人が用いた漢方薬」などの意味もあると言われています。

18種類もの多くの生薬から構成されているため、体質に合わない人が使用すると予期せぬ副作用が生じることもあり、基礎疾患のある方や妊娠中・授乳中の方も要注意です。

しかし、防風通聖散については数多くの研究がされており、脂肪減量効果や、腸内細菌叢を介した腸管バリア機能向上効果、それを利用した2型糖尿尿患者への血糖改善効果なども期待されています。

自分で肥満にならないような生活習慣を意識して防風通聖散を上手に用いることができれば、ダイエット効果に加え、健康維持効果も得られます。

満量処方を使うのが少し怖い方は、半量処方やそれよりも少ない製剤を試してみるとよいでしょう。

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